AWARD2023 – 令和5年度島根県障がい者アート作品展2023

［作品タイトル］あたらしい　ぬりえ
［作　者　名］佐々木綾乃

絵画（和紙、アクリル絵の具）
縦49×横63cm

［講　評］

かつて下絵をはみ出した色塗りで金賞を受賞した作者の新作。同じ浜田市内にある「Atelier Sunoiro」に通い始めた経験から本作は生まれた。彼女の創作スタイルに合わせて、和紙を準備するなど、本作は作者の心に寄り添った支援による賜物だと言える。（櫛野展正）

［作品タイトル］無題
［作　者　名］岡田卓巳

絵画（画用紙、色鉛筆）
縦38.4×横54.3cm

［講　評］

様々な色の線を重ねて描かれた作品。観る人ごとに、例えば「ゆらぎ」「強弱」「流動」「風向き」「自然の力」といった言葉で表される、絵そのものがまるで動いているような錯覚を与えるのではないか。作者の技術と豊かな想像力の賜物と思われる。（大下弘之）

銀　賞

［作品タイトル］今日の色
［作　者　名］田中良佑

絵画（ノート、色鉛筆）
縦25×横18cm

［講　評］

執拗なまでに塗り込まれた画面が、単なる大学ノートを重厚な物質へと変容させている。ページを捲ると、所々紙面は破れ、不思議な光沢と独特のグラデーションを生み出している部分もある。作者が過ごした日々の時間の集積を感じさせる良作だ。(櫛野展正)

［作品タイトル］AM5時
［作　者　名］潮風

絵画（黒画用紙、パステル、色鉛筆、固形水彩絵の具）
縦54×横39cm

［講　評］

AM5時、暗闇から朝日が昇ってくる朝焼けの中、黒い電柱柱がずっと立っている。まるで作者がたたずんでいるような光景が目に浮かんでくる。黒い電線を黄色で描いているのも面白い。作者が何を思っているのか、たぶん「今日も頑張ろう」と何か希望を見つけた前向きな姿勢を感じる。（髙岩綾子）

［作品タイトル］天国から見た地獄
［作　者　名］松岡達男

絵画（画用紙、絵の具）
縦55.5×横71cm

［講　評］

黒の画用紙に中細の筆で敷き詰めるように描かれた色の面が、画面全体を覆っている。クリーム、セージグリーンなど、中間色が多彩に使われ、色の違いに目を遊ばせるだけでも楽しい。地獄の景色が描かれたようだが、悲惨さよりも賑やかさが観取され、作者の地獄観をうかがいたくなった。（廣田理紗）

銅　賞

［作品タイトル］松江の町
［作　者　名］加藤貴治

絵画（スケッチブック、色鉛筆）
縦35×横45cm（見開き）
スケッチブック自体（縦35×横25cm）

［講　評］

松江の町に暮らす人や動物、モノやコトが、40ページに渡って描き出されたブック型の作品である。色鉛筆で着彩された画面は、発色がとても綺麗で、迫力があり、見応えがある。それぞれの構図は軽妙でユーモアに溢れ、ページをめくる楽しさが尽きない。リズミカルな画面構成により制作中の楽しさがよく伝わり、見る者に何とも軽やかで心地よい印象を投げ掛けてくれる。（福井一尊）

［作品タイトル］旅する白イルカ
［作　者　名］鹿島大佑

絵画（画用紙、筆ペン、イラストマーカー）
縦54×横76cm　2枚分

［講　評］

２面にわたって描かれた白イルカ、一方は仲間との出会い、一方は水面を跳ねる様子が、緻密な色使いによって表現されている。いずれも狭い水域をものともしない力強さ、伸び伸びした印象を与え、作者の前向きな思いが伝わってくる作品である。（大下弘之）

［作品タイトル］大蛇
［作　者　名］前田彰

絵画（画用紙、鉛筆、油性マジック、ポスターカラーマーカー）
縦38×横54cm

［講　評］

大蛇の輪郭を油性マジックの黒ではっきりと書いてあるので、引き立っている。キャンパスいっぱいに描いてあり、ポスターカラーでカラフルにポップな感じで塗ってあるので、作者の神楽大好きという気持ちが伝わってくる。（髙岩綾子）

［作品タイトル］無題
［作　者　名］吉原俊夫

絵画（画用紙、色鉛筆）
縦39×横53.9cm

［講　評］

赤い夕焼けに照らされた草むらに、大きな風が吹いたような、動きのある作品。画用紙に色鉛筆を使って一定の方向に描き、いくつかの大きな色のうねりが生まれている。色同士が重なりをなし、見せる微細な変化は、いつまでも見ていたくなるような魅力がある。（廣田理紗）

［作品タイトル］涙
［作　者　名］永戸輝明

絵画（画用紙、色鉛筆、パステル）
縦39×横54cm

［講　評］

それが人なのか、他の動物かも分からない。それくらい顔を大きく捉えた大胆な構図であるが故に、見るものに何かを語りかけてくるような力作である。よく見ると、泣いているようであり、楽しそうであり、また笑っているようにも見える。作者の様々な感情の揺れが、一枚に落とし込まれたのであろう。画面構成は黒色が効果的に使われていることから、それぞれの形と色を引き立てており、決して寂しくない抽象絵画に仕上がっている。（福井一尊）

佳　作