ABOUT

WEB作品展について 2021

〈 WEB公開期間 〉
令和3年12月1日(水)~ 12月31日(金)
※上記会期内に応募された全作品を見ることができます。令和4年1月1日以降は、受賞作品のみを見ることができます。

〈 主 旨 〉

 令和3年度島根県障がい者アート作品展-WEB展2021-は、文化芸術活動を通じた障がい者の自立と社会参加を推進しています。コロナ禍においても創作や表現する意欲を失うことなく、その喜びを発信、共有することを目的として開催します。

[ 主 催 ] 島根県 / 島根県障がい者文化芸術活動支援センター アートベースしまねいろ
[ 協 力 ] 社会福祉法人 島根県社会福祉協議会 / 島根県知的障害者福祉協会
[ 後 援 ] 公益財団法人しまね文化振興財団 / 島根県障害者社会参加推進センター
[ お問い合わせ先]
 島根県障がい者文化芸術活動支援センター アートベースしまねいろ
 〒695-0024 島根県江津市二宮町神主1964番地31(社会福祉法人いわみ福祉会 総合福祉施設ミレ青山内)
 ℡080-5756-3225(担当:渉/三澤)Fax0855-54-3101 Mail: artbase@shimaneiro.jp

受 賞 作 品

全 体 講 評

福井 一尊

 11年続いている本展審査会ですが、今年は展覧会をWEB上で、また審査会を画像で行うという新しい試みとなりました。応募の方法もこれまでとは異なるため、例年のように多くの作品が出品されるかという危惧がありました。そのような心配を他所に、こうして多くの力作によって展覧会が開催できましたことをとても嬉しく思うとともに、出品に関わられた皆様に心から感謝申し上げます。
 今年は写真による審査を行いましたので、よりじっくり時間をかけて一つひとつの作品細部まで味わった上での審査ができましたことは、WEB展ならではの良さであったと思います。本展の鑑賞方法も、自宅等でじっくり作品を味わえるものとなっております。このWEB展を気軽にご覧いただくことで、障がい者のアート表現の素敵さ、面白さ、豊かさを県内外の方々に広く知っていただくチャンスになればと願います。
 応募いただいた350点の作品は、絵画、彫刻、工芸、写真、書、手芸等と多岐に渡っています。WEB展ならではの動画作品も出品されています。大変豊かな表現活動が、コロナ禍においても、全県内で展開されていたかと思うと、とっても嬉しい気持ちになります。どのような時代であっても、人は美しいものに惹かれ、面白いものに心揺さぶられ、感情のヒダがくすぐられたなら表現したくなるのです。コロナに翻弄されたこの1年を過ごした私を励ましていただいた思いがしています。
 こうして、表現しなくてはいられない“生(き)の表現”に触れていると、鑑る者の心を満たしてくれる感覚を覚えます。審査会においては、審査員一人ひとりが感覚を研ぎ澄ませながらも、和やかに言葉を交わし、じっくりと作品審査をすることができました。特に最優秀賞の5点、優秀賞の15点、奨励賞の20点に選ばれた作品には、鑑る者の心にぐっと入り込む力があります。本展をご鑑賞いただく皆様には、作品に宿る「むき出しの本気」を楽しんでいただけましたら幸いです。
 作品を生で見る迫力というものがあります。言葉にできない佇まいというものがあります。今回はWEB上ですので、それらは味わえませんが、画像を自由に拡大したり、期間中何度もご覧いただいたりして、画像ならではの今日的な鑑賞方法で是非楽しんでください。
最後に作者との望ましいコラボレーションにより表現活動をサポートし続けておられる支援者のセンスとご尽力に敬意と感謝を申し上げます。

櫛野 展正

 初めてのWeb公募となり、絵画や写真、陶土だけでなく映像など、これまでにない多様なジャンルの作品が集まった。新型コロナウイルス感染症の拡大が猛威をふるう中でも、こうして障害のある人の表現が継続して行われていることに安堵感を覚えるとともに、通常の公募展とは異なり、新型コロナウイルス感染症等の社会情勢に特化した作品などが少ないことも、良い意味で障害のある人たちの芸術表現の特徴と言えるのかも知れない。
 入賞した作品はいずれも、「どうしてこんな風に見えているのだろうか、なぜこんな表現方法なのだろう」と新しい視点を示してくれるようなものばかりだった。ただ、残念なことに撮影した画像が不鮮明なため、賞には至らなかった作品も何点か見受けられた。障害のある人が心地よく創作できる環境を整えるだけでなく、出来上がった作品を社会に発表するためのサポートを行うのも、傍で支援に携わる人たちの重要な業務のひとつだ。撮影技術や額装の方法など、作品を世に広めていくための方策については、ぜひ支援者の間で研鑽を積んでいただきたい。
 同時に、寄せられた作品の中で、作品の魅力を伝えようとするあまり、残念ながら支援者の介入度合いの強すぎる応募作もあった。確かに、福祉施設など障害のある人の表現活動の現場では、ある種、支援者の方たちとの「共犯性」に基づいて作品制作が行われていることが多い。しかし、あくまで主体となるのは障害のある人であり、支援している人たちは彼らのプロデューサーではないはずだ。指導したり介入したりするのではなく、障害のある人たちの感性を引き出す裏方に徹すること。言わば、「空気」のような存在として、障害のある人たちの表現に伴走する姿こそ、支援者に求められるべき姿勢といえるだろう。

川西 由里

 初めてのweb展覧会ということで、どうなることかと心配したが、例年通りバラエティー豊かな作品の応募があり、またコマ撮りアニメなど初めて映像作品のエントリーもあったことを喜ばしく思う。ただ、審査において実物を見ることができなかったため、細部までじっくり見られなかった点、質感やボリュームによるインパクトを受け取ることができなかった点が残念だった。特に大型の平面作品は撮影が難しいため、審査に提出された写真の印象が撮影機材や撮影スペースに印象が左右されたと思われる。来年は実物を見ての審査が再開されることを願っている。
 web展覧会では大きな作品も小さな作品も同じ画面上に表示されるため、小さな作品、繊細な表現をじっくり見るのに適しているように感じた。淡い色使いで詩的な世界が描かれた若森清一朗さんの「くもりと木」、柔らかな色と繊細な線描の組み合わせが印象的な渡部志帆さんの「お米が炊けましたー。」など、派手さはないが豊かな広がりを持つ作品に惹かれた。

村松 敦子

 写真による審査でありましたが、それぞれの作品から、創る楽しさや喜びが伝わってきました。また、癒やされると同時に元気をいただき、アートの素晴らしさを改めて実感しております。
 今回の応募にあたっては、創作活動に写真撮影が加わり、これまでとは違ったご苦労もあったかと思いますが、多くの応募があり、表現する喜びを発信・共有できるアート展になったことを嬉しく思います。
 障がい者の皆様のアート活動がさらに広がっていきますよう、また、多くの方々にご鑑賞いただきますよう、今後とも皆様のご理解ご協力をよろしくお願いいたします。

髙岩 綾子

 今年の島根県障がい者アート作品展は島根県立美術館の改修工事のため初めての試みでWEB展を開催することとなりました。コロナ禍の影響で最近ではリモート会議も定着してきましたが、アート作品のWEB展はまだ馴染みが少なく、作品募集しても集まらないのでは、と心配しましたが、おかげさまで350点の作品が集まりました。そして今回初めて応募された方の作品や児童の方の作品も増え皆様の関心の高さに嬉しく思います。審査は審査員の皆様と一緒にスクリーンに大きく映し出して審査させていただきました。昨年とはまた違って面白い作品が増え、WEB展だからできる動画の作品もあり、作者一人一人の湧き上がる衝動のままに表現した、既存の芸術文化にない表現の多様化に、審査する側も心が満たされた思いになりました。
 ぜひWEB展の利点であるいつでもどこでも鑑賞できる展覧会ですので、今まで美術館に足を運ぶことが出来なかった方も楽しんでいただきたいと思います。
 来年はまた島根県立美術館で島根県障がい者アート作品展が再開いたしますので、関係者だけでなく一般の方達にも注目していただけるよう、支援センターとしても働きかけていきたいと考えております。これからもどうぞよろしくお願いいたします。