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［ 作品タイトル ］空想画　八百万の神々
［ 作　者　名］鹿島　大佑

絵画（画用紙、墨、油性ペン）
縦54×横38cm

［ 講　評 ］

いったい何を描いているのだろうか。中国神話に現れる伝説上の動物、麒麟（きりん）のようでもあり、龍のようにも見えてしまう。ところが目を凝らしていくと、鳥や細胞、そして何かの仮面のように見える部分もある。
昨年の「島根県障がい者アート作品展」で銀賞を受賞した鹿島大佑さんの新作だ。
昨年の受賞作『海の中の都』とは、また異なるイメージの力強さを感じさせる良作になっている。『空想画　八百万の神々』と題されたこの絵画に、しばらく心を奪われた。赤が印象的な本作だが、同じ赤でもさまざまな赤が使い分けられていて、かすれたペンの描きこみさえも、彼の筆致として蘇ってくるようだ。
今後の活躍にも期待したい。（櫛野展正）

［ 作品タイトル ］見えているもの
［ 作　者　名］松岡　達男

絵画（絵の具、紙、筆、ヨーグルトカップ、鉛筆）
縦109×横78cm

［ 講　評 ］

あざやかな色を多用した、躍動感ある表現だが、二つの大きな目玉に凝視されているようで、ドキッとさせられる絵だ。
目玉の周りには波うつような線が多数引かれ、画面いっぱいに不定形の区画がたくさん作られている。その区画をはみ出さないように丁寧に色が塗られているが、ところどころ区画の中に複数の色が塗られている部分もある。そこが比較的ラフなタッチで塗られていることから、緻密になりすぎない伸びやかさが生まれている。目があるせいで、この不思議な形は身体の内部、あるいは脳内にあるものを連想させ、色とりどりの彩色の効果もあって、それらが息づいているように感じられる。
生命力に満ちた、華やかでインパクトのある作品である。（川西由里）

［ 作品タイトル ］大木
［ 作　者　名］山本　千裕

絵画（紙、水彩絵の具）
縦36×横38cm

［ 講　評 ］

背景の白色が大木を際立たせ、美しいコントラストです。太い幹や動きを感じる枝には葉がバランス良く丁寧に描かれています。
力強さを感じるとともに、優しさに包み込まれているような居心地の良さも感じ、元気と癒やしを同時に与えてくれます。いつまでも鑑賞していたくなる作品です。（村松敦子）

［ 作品タイトル ］鳥
［ 作　者　名］舟木　伸夫

絵画（コピー用紙、画用紙、ボールペン）
縦70×横100cm

［ 講　評 ］

ボールペンの線のみで描きあげられた、A4用紙16枚による平面作品です。多様なポーズをした愛らしい鳥をモチーフとして構成させながら、作者の“そのまま”がストレートにぶつけてあるように感じられます。黒く見える面は、よく見ると文字が細かく並べられていることに気付きます。是非、画像を拡大してご覧ください！文字が窮屈な言葉の世界から解き放たれ、自分の意思を持ってうごめいているかのように感じられます。画面全体で、“緊張”と“緩み”のバランスを高次元で融合させた、ずっとその世界に浸っていたくなる秀作に仕上がっています。（福井一尊）

［ 作品タイトル ］般ニャー　パートⅡ
［ 作　者　名］三浦　孝文

工芸（フェルト、ハリガネ、竹、エポキンパテ（般若面）、スパンコール、みずひき）
縦12×横12.5×奥行8cm

［ 講　評 ］

しっかりと眼力のある今にも神楽の舞を踊りだしそうな猫、作者のコメントによると猫の顔を本物に近づけるにはまだまだ研究の余地があると書かれていますが、猫の表情がひしひしと伝わってきます。高さ12センチの小さい作品ですが、神楽の衣装も手が込んでいて頭に付けている般若のお面も丁寧に作られています。ＷＥＢ展では大きくアップして見られますが、ぜひ実物を見てみたいです。神楽好きの作者がコロナ禍で神楽公演がなかなか観ることのできないもどかしさが感じられました。（髙岩綾子）