2025年10月28日(火)クアスでの創作イベント「しずかでにぎやかなうみ」で幕開けしたアクアート2025。2回の創作日と創作した作品の作品展「うみ・いろ・かたち展」、創作ワークショップとデジタルワークショップを開催した「ミニアクアート」は2025年12月15日(月)で一連のイベントが終了しました。
一連のイベントでは、多くの方にご協力いただきました。アクアートは、実行委員会でチームを組み、通年をかけて準備をしています。アクアスさんはもちろんのこと、アクアスさんとの連携先の事業者、島根県立大学地域づくりコース村岡ゼミ、アトリエ・スノイロ、アートベース・しまねいろ等が実行委員会をとおしてイベントを企画・運営しています。今年が3回目となるアクアート2025。例年に増して、様々な連携先が増え、ご縁を嬉しく思うとともに、慌ただしくもあり、チャレンジングであった、というのが今年の個人的な感想です。
「しずかでにぎやかなうみ」の創作では、午前の部では昨年に引き続き江津工業高校の学生と小学生がペアを組んでの、水族館観覧&創作活動。小学生に創作を無理強いすることなく、その人その人が過ごしたい時間を過ごせるように、にぎやかしながらも寄り添う一面も見られました。お魚が大好きな小学生が、水槽内を泳ぐダイバーさんとジェスチャー等で思いを伝え合っている場面など、ちょっとしたドラマにスタッフが感動してしまいました。
午後の部は福祉施設等を利用する大人の方を中心にご参加いただきました。すごく楽しそうに始終笑顔で館内を回っている参加者の方がおり、こちらもつられて笑みがこぼれるようでした。
「うみ・いろ・かたち展」では、「しずかでにぎやかなうみ」で創作された作品をアクアスペンギン館に展示しました。展示台には、浜田養護学校での障子紙を使った創作ワークショップで作成された障子紙がテーブルクロスに。色のグラデーション、しぶき、模様などにぎやかに個々の色彩、かたちが溶け込んでいます。その障子紙の上に、様々な年齢・所属の異なる作り手達の作品が集って、水族館の海洋生物と共に佇むようすはユニーク。混ぜこぜに、でも、それぞれに。関係ないようでいて、でもなにかとどこかで関わっていて、じぶんのこころの知らぬ間に、そのなにかが介在しているようです。


「ミニアクアート」のデジタルワークショップでは、水中ドローン等のデジタル機器を使用してオンラインで福祉事業所や保育園とつなぎ、ペンギン館の観覧を配信。村岡ゼミが進行役となり、視聴者と水族館をつなぎました。
イワミノチカラさんに技術提供いただき、飼育員のペンギン餌やりを飼育員さん間近の目線で画面越しに体験。映像と共に、アクアス飼育員の解説が入ったりして、この解説が非常に面白い。“え、そうなの?”、“なるほど、そんな事情があるのね”など“すーっ”と内容が入ってくる。通常、水族館を観覧しても、どこかにフォーカスしてじっくり観ることもないし、逐一解説を(私は)読んだりしない。知り合いに友達を紹介されるような感覚で、飼育員さんを介してペンギンをより身近に感じられる。
島根職能開発促進センター(ポリテク島根)さんが水中ドローンを操縦しました。非常に動きが滑らかで、ペンギンと一緒に水槽の中をドローンが動いていても、ペンギンは警戒もせず、のびのびと泳いでいました。操縦機は2つのレバーがあり、一つは高低差を、一つは方向を操縦するもの。なんと、ドローンは手作りだそうです。普段の操縦練習は学校のプールで。生き物が実際に泳ぎ、地形の複雑な水槽内での運転は普段とは異なるため、ちょっとしたチャレンジングでもあるそうです。
創作ワークショップでは、ステンドシールでにぎやかになった一面の窓の先に、海・空が広がります。ちょっと曇って空が暗い日でも、なんだか楽し気に、なんだか和やかな気持ちにしてくれます。アクアートの第1回目は、障がい者の文化芸術活動の振興を目的に障がい者を主な対象として開催しましたが、2回目より小学生や高校生、地域の人を巻き込んで、と段々とその対象の枠が広がりインクルーシブになりました。障がい者に限らず、地域に誰もが居心地よく鑑賞したり、創作したりすることのできる場があるように。こんな目線や視点もあるのだなと、自分の枠を広げる体験、知る面白さ、生き物のおもしろさ、単純にワクワクすること、そのような機会を日々のなか感じていたいものです。
障がいに限らず何かしらの不便さや悩みを抱えている人も、安心して何かに没頭できるような、ワクワクするような時間を過ごせたら。いろんな視点と出会う、発見のある機会になれば、というような思いで皆が意見を出し合い、なんとか挑戦した今年。準備の時期にはじまり、創作日、展示期間、ワークショップなど通年を通し、様々な方が関わってくださいました。関わって一緒に「アクアート2025」を作り上げてくださった方、参加してくださった方、興味を持って最後まで読んでくださった方、本当に有難うございます。また、来年度も楽しみにしていてください。どうぞよろしくお願い申し上げます。



