[ 報告 ]伝わる展示のつくり方 -立体作品編- 講座の報告

 晴れ渡った青空のもと、浜田市世界こども美術館多目的ホールにて『伝わる展示のつくり方 -立体作品編- 』が開催されました。ガラス張りの壁面からは、日本海が大きく広がります。

 本講座は、鞆の津ミュージアムから講師の津口さん、アシスタントの三宅さんをお迎えして基本的な展示の仕方を学ぶ講座です。R2年度より障がい者アート作品展を運営するアートベースしまねいろ主催のもと、アトリエ・スノイロの栗山さんにアドバイザーとして全体をフォローいただきました。障がい者アートに携わる支援者の養成を目的とした講座ではありますが、福祉関係の方に限らず個人で活動をされている方など、8名の方がご参加くださいました。様々な方の参加動機や活動内容などの背景をお聞きするのは大変興味深く、また障がい者芸術、さらには鑑賞や展示に対して多様な分野の方に興味を持っていただくことは主催者としても大変喜ばしいことです。

 午前は鞆の津ミュージアムでの活動や作家の人生に根差した作品への関わり方についてお話いただきました。津口さんがこれまで関わってきた作品の数々の紹介にはじまり、作品にまつわるエピソードや背景を知るための取材、記録、その他諸々多岐に渡る活動について伺いました。想像するだけでも膨大な作業。それをひとつひとつ積み重ねてこられた地道さと、作品や作家に語りかけていくようなやわらかい関わり方に感服しました。

 午後はいよいよ実践! 立体作品の基本的な展示の仕方について学びます。3グループにわかれて作品を選び、展示して、講師よりフィードバックいただく流れです。作品は、鞆の津ミュージアムの作品や、放課後デイ等サービスで作成された作品を用います。まず作品の材料や作成方法、作家さんの特性やエピソードなど知るところから。作品についてお話を伺った後は、どの作品を選び、どういうテーマで展示をつくるか、と各グループでは試行錯誤の連続です。展示に悪戦苦闘していると津口さんが、展示道具を持ってきてくださり、使い方など指導くださりました。その他に裏技もご教授。実践って身になる!と感じた瞬間でした。

 1時間ほどの展示時間もあっという間に過ぎ去り…。いよいよ講評です。津口さんからは導線や展示の見やすさなど、様々なアドバイスがあり、同じ作品でもグループによって展示は様々。いつもは作品にばかり目が行くけれど展示そのものに視点を持っていく機会は新鮮でした。
 その後、梱包についてあると便利なグッズや、キャプションづくりの実演&体験を。キャプションづくりは初めての方も、作成経験のある方もいらっしゃいました。作業に没頭する人、合間に津口さんに質問する人、参加者同士でお話しする人。それぞれの時間を皆さま過ごされていました

 最後に、皆さま終日の講座、本当にお疲れさまでした。今後の作品の展示や鑑賞に役立ちますように。たくさんの経験談や洞察、実践で使える技術や、作品や作家に接するまなざしをお伝えくださった津口さん、三宅さん、アトリエ・スノイロの栗山さん、本当にありがとうございました。